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「おねーえちゃんっ」
ベッドへ横たわっているさとりに、遠慮なく覆い被さる。ぎしりと刹那にスプリングが軋み、しかしそれだけでベッドは二人分の体重を受け止めた。
「……安眠妨害です、こいし」
「無意識」
眠たそうに細められた瞳で少し睨むようにこいしを見つめる。言葉通りさとりは寝ていたのだ。
昼下がりはどうしても眠くなる。彼女はその睡魔に抗わずあっさりと受け入れ、こいしがこうして安眠を妨害するまで心地よく寝ていたのだった。
半ば怒られるようにさとりに言われ、しかしこいしは悪びれた様子も無く口癖と化した言葉を使う。
「…うそつき」
その言葉に少しむっとなったからさとりは、ぼそりと小さな声でこいしにそう呟く。
「嘘じゃないよ。お姉ちゃんなら判るでしょう?」
「判りませんよ。…あなたの思ってることは、特に」
それは嘘ではない。事実だ。閉ざしてしまったこいしの心は、さとりでも見ることは出来ない。その旨は大分前から彼女に伝えているはずだけれど、事ある毎にこいしはさとりに能力の使用を強いる。
その行動に果たしてどんな意図が組まれているのか、心が読めやしないからさとりは全く以って理解出来ない。たとえ心が読めていたとしてもこいしはよく解らない人物になっただろう。
不思議に思うのだ、どうしてそんなに心を読む読まないに執着するのか。
「………」
よく、解らない。
不安に思うのだ。だってただ一人だけ心が読めないだなんて、そんなの、
「…おねえちゃん」
「ん、なんですか…」
「わたしの、思ってること、…わかる?」
眠そうな声色で返事が返ってきてああ眠いんだと判ったけれども、構わずにこいしはさとりの睡眠を妨害した。
大分前から、否、こいしが“心を読む程度の能力”を閉ざしてから、さとりはこいしの心を見ることは出来なくなった。それをこいしは重々承知している。解っているけれども、それでも何度でも訊いてしまう。
唯一心が読めないだなんて、なんだか拒絶されているみたいで。
寂しくなんかならないけど、不安になる。
「……判り、ません。こいしの思ってることは、とくに」
抱きしめたさとりの、顔は見えない。ただ彼女のその細い身体から体温がぬるく伝わるだけ。酷く、気持ち悪かった。
「残念だなぁ…」
嘲笑うような、諦めるような、でも諦められないような、そんな渇いた笑いを浮かべる。
浮かんだ続きの言葉はそっと胸にしまっておいた。
こんなに大好きであいしてるのに。
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