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プロフィール
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暮雨吉
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 東方(旧作)や音楽などで生きてます。
 ご用の方は以下からどうぞ。
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≪悪ガキ二人。≫ 2008/9.15


「はい」
「そんな訳で」
「連れてきちゃいましたー」
「付いてきちゃいましたー」
にこにこ。屈託のない笑顔がふたつ、目の前に咲き誇る。それは酷く無邪気で無性に腹立たしく妬ましい。
笑顔の一方、星熊勇儀がいやぁとこぼし、頭に手を回しながら訳を話した。
「魔理沙が旧都に来たいって云うからさぁー」
にこにこ。
笑顔の一方、霧雨魔理沙がでさぁとこぼし、腰に手を当てて続きを話した。
「そしたら勇儀が連れて行ってくれるって云うからさぁー」
にこにこ。
そして私は、そいつらの話を聞いて幻滅した。
「……あんたら、私がなんのために橋の番してると思ってんのよ」
この金髪どもめ。私もだけど!
目の前の能天気な金髪どもは私の言葉を聞いて首を傾げる。しかもタイミングが合ってる。こいつら電波でも飛ばしあっているのかしら。
確認するかのように二人で顔を見合わせ、こちらを向く。
「いや」
「それは」
最初の登場時と同じようにぽつりぽつりと言葉を紡いで、
「橋が友達」
「だからじゃないのか?」
いつか妬み殺す。
「ねー」じゃないわよ。何確認し合ってるのよ。妬み殺すわよ。


(悪ガキ二人。)




勇儀さんと魔理沙でパルスィが振り回されてたらいいなぁ、という話。
きっと気が合うはず。といいますか、基本的に鬼と魔理沙は気が合うと思う。







≪ツイラク ~in love.≫ 2008/11.8


何かにおちる音がした。



           ツイラク ~in love.




すごく、頼りない。見た目からそんな印象を受けた。

「ははっ…一応うちじゃあ優秀なんだよ、これでもね」

苦笑いを浮かべながら頬を掻きつつ、そう賞したのは骨っ子椛の上司。確か哨戒天狗の中でもそこそこの上層部に所属する奴だったかしら。彼の浮かべた苦笑い は、まるで私が思っていることを前以て予想していたような、またこれかとでも思うような、そんな顔。これまでにもそう言われもしくは思われてきたんだろう なぁと窺えた。
否、しかし。
この子の身体的特徴を見るとどうしてもそこに行き着いてしまうのだ。

「えーっと………、ちゃんと食べてる?」
「はいっ、毎日三食欠かさず食べてますっ!」

恐る恐る、と謂った体で訊いたのだけれど、骨っ子椛はそれを打ち消すように元気良く答えた。少し呆気に取られる。そして何やらぶんぶんという音も聞こえる。
その時喉仏ぐらいまで「だとしても、随分とほっそい身体してるねぇ」という言葉が達していたけれども言わないでおいた。多少なりともコンプレックスになっているだろうから、言ったらきっとしょんぼりした表情を浮かべる。
ふぅ、と。一つため息を吐いて私命名―骨っ子椛こと犬走椛をもう一度頭のてっぺんから足のつま先までじぃっと眺める。その途中でガチガチに固まった身体を 必死に解すように、ぶんぶんと尻尾を振っているのが目に入った。さっきの音の出所はこれか。あと張り詰めた耳も。なんだか白狼じゃなくて犬みたい、なん て。そんなこと言ったらきっとしょんぼりするんだろうなぁって思ったから、これまた言わないでおいた。

「…で。何でしたっけ、用件」

椛をしみじみと眺めすぎて、否彼女の頼りないひょろりとした身体と実力とのギャップが激しすぎて大事な用件を忘れてしまった。これは職業にちょっと危険を もたらすかもしれない。何事も真実を伝える、これがブン屋だ。その為にはその時の状況をすばやく把握しすばやく記憶し、それを如何に簡潔に、且つ的確に文 章に変換し相手に伝えるか。一流の記者の腕はここなのだ。
私の言葉を聞いて椛の上司は先ほどの苦笑いとは異なる、少し楽しそうな、可笑しそうな、随分と気の緩んだやわらかい苦笑いを浮かべた。椛は複雑そうな顔だったけど。
その表情を保ったまま、彼は私の質問に答えた。

「指南だよ、彼女の」
「ああ…」

思い出した。




書きかけのままお蔵入りの話。一応あやもみ。
これを書いていた当時の椛像を惜しみなく出しました。勿論今は変わっております。いつかの機会で出せるといい。







≪痛優。≫ 2009/1.23


痛くない筈はない。きっと痛い。とても痛い。きっととても痛いのだろう。
なのに、どうして。
どうして、どうして、どうして。
「ねぇ、なんでよ」
口の中が粘つく。そして絶えず鉄の味が広がっていた。どんなに唾液に絡めて飲み込んでも、それは無くなりやしない。
わたしの問いかけにお姉様は潤んだ瞳で返す。言葉で返さなかったのは彼女の口が必死に酸素を求めていたからだと思う。それとも、恐怖や痛みで声が出なかったのだろうか。
「なんで何も言わないの。痛いとか嫌とかこわいとか気持ち悪いとか、なにか言ってよ。なんで黙ってるの」
前言は撤回する。お姉様に限って恐怖や痛みで声が出ないなんてことはない。たとえ感じていても、出さないだけだ。
今もそう。出ないんじゃなくて「出さない」だけ。こんなおかしいわたしに何も言わない、言ってくれない、言ってくれやしない。何故なら彼女はこの世界の誰よりも優しくて、この世界の誰よりも愚かだから。誇り高い吸血鬼なんて、ハッタリも良いところだ。
先程の問いかけにも、お姉様は言葉を紡がなかった。ただ、目を少し細めただけだった。なんで黙ってるの。黙ってるから調子に乗っちゃうんだよ。ねぇ、なにかいって。お願いだから。
「黙ってるから、だまってるからまたこうやって繰り返しちゃうんだよ。黙ってないでなにか言ってよ。ねぇ、お姉さま。拒否してよ、拒絶してよ。はやく、否定して、わたしを、総てを、おかしいって、ねぇ、おねえさまッ!!」
普通じゃない。正常じゃない。わたしは気が狂っているのだ。495年間幽閉されながらずっとそう思って、そして疑わなかった。
おかしいわたしはなにもつくりだすことができない。そんなわたしにふさわしい能力。「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」。与えることは出来ない。奪うことしか出来ない。わたしは有力で無力だ。
それなのにお姉様は苦しいくらい優しくわたしを了承して、受容して、わたしの総てを肯定する。正気だって、狂気じゃないって、495年間ずっとそう信じ続けている。
違うのに。わたしは正気じゃないのに。狂気だから、こんなことをしちゃうのに。なんで拒否しないの、拒絶しないの、否定をしないの。
「…また、だんまり?」
わたしの叫びは空しく地下室に響くだけだった。その声に答えてほしかった人は、やはり何も答えてくれやしなかった。
優しさが、痛い。




実は当時のことが思い出せない。なんで書いたんだろうなぁ。






≪ただの『あい』の話。≫ 2009/2.11


この気持ちはなんだろう。
答えはすぐに浮かび、しかし認識する一歩手前のところでかき消した。
この気持ちを"それ"と認めたくなかった。

「……小悪魔」
「なんでしょう、パチュリーさま」

わたしはパチュリーさまの使い魔として、図書館の司書を任されている。主に魔理沙さんの手によって荒らされた本を整理するのが仕事である。他にも咲夜さんに代わって紅茶を淹れたりもする。味は、やっぱり劣るけれども。
今日も今日とて荒らされた本を整理していたら、唐突にパチュリーさまに声を掛けられた。手を止めて振り向き、返事をする。
めずらしい。彼女がわたしに声を掛けるのは、たいてい客人(アリスさんとか妹さまとか、一応魔理沙さんもふくむ)が来たときぐらいなのだ。そうでもない時に声を掛けることは、今までで、そう、両手で足りるか足りないか、その程度。
普段のパチュリーさまは本をずっと本を読んでいるから自然とそうなる。ましてやお互い、積極的に話を掛ける性分でもないから、余計に。それでも何一つ不便は感じないからこのままで良い。少なくとも今現在は。

「貴女、恋でも患ってるの?」

――――は?

「ぱ、…ぱちゅりー……サマ?」

この百年魔女は何と言いやがりました?
こい? 濃い? 来い? 故意? 鯉?
―――――恋?

「in love. 恋愛の恋のことよ。…変な方向に取らないでよ」

しばらくの間、きっと彼女に間抜けな顔を晒していたと思う。開いた口が塞がらないとはこういうことなんだろう。
最後に付け足された言葉は最早耳に届いていなかった。その前に意味を悟ってしまったから。
パチュリーさまは口を開けたまま固まったわたしを訝しむように見つめる。小悪魔、小悪魔? 声が聞こえた。怪訝を帯びたその声で名を呼び掛けようとも、今のわたしにはそれに答えられるまでに思考回路は回復していない。
いまだに頭の中では、彼女の先程の言葉が響き渡っている。

『貴女、恋でも患ってるの?』

無意識、無意識に、ほんの数瞬の無意識に載せて、パチュリーさまの言った言葉に答えていた。

「恋、……なんて、そんなのじゃありませんよ」

ちがう。ちがう、ちがう。
恋じゃない。
恋なんてものじゃない。
そんなのじゃ、ない。
絶対に絶対にそんなのじゃない。
あの人を見るたびに心が躍っても、あの人の姿に釘付けになっても、あの人の声に聞き惚れても、あの人に触れたいと思っても、あの人を愛しいと感じても、それは絶対に恋なんてものじゃない。

「小悪魔」

名前を喚ばれ、無意識から意識を取り戻した。はっと焦点を目の前の魔女に合わせ、姿を視認する。
彼女はわたしを真っ直ぐ見つめていた。
矢のように、ナイフのように、光のように、まっすぐわたしを見つめていた。

「貴女は……恋を、患っているわね」

わたしは震える声で言った。

「            。」

この気持ちが恋だとは、この先もずっと認めないだろう。認めてしまえば同時に叶わないと判ってしまうから。
すこしでも良いから、夢を見ていたかった。

■■しています、お嬢さま。




こあレミという新境地を開拓したので早速ふくらませてみた。
おぜう様は紅魔館のみんなに愛されていると思います。







≪やさしい彼女の襲い方≫ 2009/3.13


じんわり広がった頬の痛みを押し込むように、そこに手を添えた。
荒い息遣いが聞こえる。わたしではなく、目の前の、お姉様。視線を一足早くお姉様に戻すと、彼女は平手打ちの構えのまま、驚いた顔と泣きそうな顔をしていた。打たれた勢いで逸らされていた顔を彼女に向けると、涙を堪えた瞳で睨み付けてくる。
「ッ、…は、っ、はっ……!」
何か言おうとして、息が詰まって、言えなくて、お姉様は一層強くわたしを睨み付ける。その紅い視線を一瞥で受け取り、彼女のくしゃくしゃになった服とその隙間から見える白い肌を見つめた。
赤黒い点が、いくつも散っている。
「ははは…ごめんねお姉様、いきなり」
吃驚したよね。そう付け加えたら、ぴくりとお姉様が震えた。それから連鎖反応のように震えが全身へまわる。睨み付けていた瞳は今や恐怖に染まっていて、わたしのなかの心をじりじり焦がす。
三歩ほど空いていた距離を詰めるとお姉様は人間の子供のように酷く怯えた様子で後ずさった。尚も詰めるとその分必死にお姉様も空けたけど、やがて壁によって不可能になる。こつんと小さな背中が大きな壁にぶつかり、絶望と恐怖が迫っていく。
わたしはにっこりとした笑顔を浮かべ、小さな小さなかわいい子供となった姉を見る。
「これ、いたかったよ」
少し赤くなりつつある頬に手を添え、軽い圧力と恐怖をかける。尤も今のお姉様にとっては重い、のだけれど。
びくりと大袈裟に姉の方が跳ねた。
非常に愉快だった。先程までわたしを睨んでいた吸血鬼が、小さく非力な子供へと変わり果てたのが。自然に口許がひきつる。心がじりじり焦げていく。
「お返しに、すっごく痛くしてあげるね」
焦げきって、中身が溢れた。




フラレミが書きたくて仕方がなかった時期の話。今は健全なスカーレット姉妹が書きたいですね。
タイトルの「やさしい」は「優しい」でも「易しい」でも良いそうです。






≪無題≫ 2009/11.16


這い上がろうと、もがいてももがいても沈むばかりだった。
水が満ちる。

聖、と村紗は呼ぶ。白蓮は手元の本から視線を移して本人を見る。常々その透き通った黒曜石のような瞳が村紗は好きだと思うのだ。
開いた距離を詰め、存外に細くうすい肩に服越しから触れる。途端にふぅわり漂う香りを村紗は愉しんだ。とても気分がいい。なにかがひたりと満ちる気がした。
腕を首にまわす。肩に今度は顎を載せる。抵抗はない。強く引き寄せる。一層深くなった香りを胸に溜める。溺れている錯覚に陥った。遠い昔に体験したものとは違う、ひどく甘い溺死。どうしたのとうかがう視線を感じた。村紗はようやく口を開く。

「なにを読んでいるのですか」
「借り物です。書名は…」
「ああ、あの賢将からですね」
「なかなかに面白いから、と」

そう言って白蓮は照れたように笑った。花のような笑顔だ。それはたまらなく愛しいものだと村紗は知っている。またひたり、ひたりと満ちる。息苦しさが生まれた。それに村紗はまだ気付かない。
覗きこんだ本の文を少しだけ読み、そうして先ほど聞きそびれた本の名前に気付く。ああ、これなら、と心内に呟く。数百年前といった頃合いに読んだことを覚えている。

「流石賢将と言った所かな。私もこれは面白いと思っていたのです」
「それはそれは。存外に気が合うやもしれませんね、貴方たちは」
「それは…多分ないでしょう。……どうにも、あの賢将は苦手で」

白蓮はその言葉に、驚いたような、ほぅとした息を洩らす。村紗は明るく社交的で、 基本的に誰とも打ち解けられる。その村紗が苦手とする相手がいるという事実に白蓮は驚いた。相手がナズーリンである所は問題ではない。
少し困っ た顔を浮かべて村紗は続けた。より強く引き寄せられるのを白蓮は感じた。耳元に村紗の顔が近づく。

「何処か見透かしたようなきらいがありまして、ね…苦手なだけで、嫌いというわけではないのですが」
「仕様のないことです。多かれ少なかれ個人には苦手とする相手がいる、それだけのことですよ」
「そう言ってくれるとありがたいです、聖」

顔をあげ礼と笑顔を向けるとさも自身のことのように感じてくれる彼女がいる。笑っていた。村紗は再び沈み溺れるような感覚に陥る。ひたりと水嵩が増す。先ほどから白蓮の香りが妙に甘ったるく感じる。ようやく少しくらいの息苦しさに気付いた。
きゅぅ、と締め付けられる胸に、理由を見つけることは出来なかった。すれば成すことはなく、ならば気にせず白蓮へと意識を戻す。 くるぶしに水嵩が至る。
ただ名を、いつものように名を呼ばれただけだった。

「……水蜜?」

しっとりと水が増す。

「ひじ、り」

息苦しさがいきなり増した。驚いて胸をおさえ、余計に苦しかった。何、と疑問を感じる暇はなかった。

「水蜜、どうしたのですか、水蜜?」

まるで溺れている時のような気がした。昔の記憶が痛みを伝えながら鮮明によみがえる。自身とともに沈んでいく船の破片を見つめながら深い深海へと墜ち る。苦しく、冷たく、深く、故に水面から差す光が厭に眩しくあたたかくて目を瞑った。ああ、思い出す。しかし違った。違う。それとはちがう。

「…聖、その本の下人は、やはり盗人になるんです」

しとりしとりと水が満ちる。それ に墜ちて、沈んで、溺れてしまえば決して生きては帰れない。甘い溺死をしてしまう。
村紗はその水が腰に届く気がした。甘い香りがする。白蓮の体から漂う。水蜜、声がして、名を呼んで、一層に水嵩が増した。

「水蜜、みなみ…っ」
「『そうしなければ死んでしまう』、という理由で」

ねぇ聖、と村紗はいつもの声で白蓮を呼ぶ。

「いま私は、溺れてしまいそうなのです」

首筋に村紗の息がかかり、白蓮は少しだけの身震いをする。気付けば背中のジッパーが下げられていた。しかし白蓮は何もしなかった。村紗は知っている。白蓮は受け入れることしかしないことを。拒むことをしないことを。
白く映えるうなじに唇を寄せる。村紗の胸の息苦しさが少しだけ和らぐ。唇を寄せた白蓮の肌はシルクのようになめらかで、村紗は恍惚に笑った。ひどく甘ったるく感じる。

「っ、ッ…みな、みつ……」
「敢えて理由を言うならば下人と同じですよ。こうしないと死んでしまう」

肌を寄せるたびに、唇を寄せるたびに、息苦しさは和らいでいく。代わりに水嵩は増していった。
気付けばもう、這い上がれないほどに沈んで溺れていた。
それで良いと村紗は笑う。冷たい水に溺れるより、温かい白蓮に溺れるなら。
そうして村紗は二度目の溺死を味わった。





ムラ白が好きなのですが、どうにも少なかったので自家発電であります。しかし書き進めていくほどに自分でもよくわからない展開に。
個人的に聖にベタ惚れなムラサ船長だと思ってます。
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