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ぐ、と本に手を伸ばす。けれど届きはしない。でももう少しで届きそう。ぐぐぐ、自然とかかとが上がった。けれどまだ届きはしない。魔理沙は悔しそうに一度本を睨み再び手を伸ばした。
「…飛べばいいじゃないの」
そうやって本を必死に取ろうと奮闘している彼女にパチュリーはもどかしくなって声を掛けた。
一応、じゃなくて魔理沙は立派な魔法使いだ、まだ人間だけど。魔法で飛ぶなんて造作もない。だから使えばいいのに、なんで使わないんだろう。別段飛行魔法を知らない訳ではないだろうに。だったら箒で飛んでるのは何って話だ。
声を掛けられた魔理沙はまだ幼さが残る顔をパチュリーに向けた。
「いや、な。もう少しで届きそうなら、自分自身の力で取りたくて」
嗚呼、努力家な彼女らしいな、とパチュリーは頭の片隅で思った。
魔理沙はそう云って薄く笑った後、また本に手を伸ばす。ぐぐぐ、とかかとを上げて背伸びして、必死に必死に取ろうと懸命に頑張っている。それは小さな子供が必死に何かを取ろうとしている姿にも見えて、思わず笑みが零れた。
ホントに、彼女らしいな。
すぃ、とパチュリーは飛行魔法を慣れた手つきで発動させ、いまだ必死に本を取ろうと懸命に頑張っている彼女の方へ近づいた。
その気配に気づいた魔理沙は、近づいてくるパチュリーにきょとんとした視線を向けたのだけれど、彼女はそれを無視した。魔理沙が必死に取ろうとしていた本を棚から取り出し、彼女に差し出す。
はい、と言って、
「もどかしいわよ、見てて」
澄んだ声が図書館に響く。静かな所だから余計に響いた気がする。魔理沙はその言葉に少し苦そうに笑って、差し出された本を受け取った。
「ありがと、な」
「いいわよ別に」
手に入った本を読む為に魔理沙は席へ向かう。その後姿を、パチュリーは見つめる。
(もう少し、なのに。)
(ほんの、少し、なのに。)
彼女と私の背丈は違う。少しだけ、彼女のほうが高い。
私は、
魔法に頼らなければ彼女と同じ目線に立つことも、見下ろす事も出来ない。
(魔理沙、)
嗚呼、もどかしい。
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