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「ねぇ蓮子」
「なぁにメリー」
唐突にメリーが蓮子を呼ぶ。蓮子は普段通りに答えた。
「あなたは専攻で物理を学んでいるのよね?」
「ええ、そうね」
何を今更確認する必要があるのだろう、そう思ったけれど言わないでおいた。メリーのことだから何かあると思う。
メリーは前髪を耳にかけ、少し低いトーンで声帯を震わす。
「世の中、つまらなくないの?」
きょと、と蓮子は目を少し見開く。鳩が豆鉄砲を食らったみたいだと思ったけれど、まぁそれはそうだろうとメリーは一人自答していた。
「…むぅ」
「あら」
「そんなの考えたこともなかったわ」
ぐいと自前の帽子を目深に被って、蓮子はつぶやくように答える。本当のことだ。
けれど、メリーが訊いたことも本当のことだ。
物理、とはそのままで捉えると「物の理」、つまり物体の全てのことである。それを専攻して学ぶと言うことは物体の全てを知ると言うことで、逆に全てを知ってしまうと全てのことがつまらなく感じてしまうかもしれない。メリーはそこに到ってこうして訊いてきたのだろう。
物理を学ぶことがつまらない、何て。思ったことなかった。と云うか、考えたことがなかった。
「…んん、もしかしたら世の中つまらないかもしれないわね」
「やっぱり?」
「ま、それはあなたと出会わなければの話だけれど」
「…え?」
今度はメリーが目を少し見開く。鳩が豆鉄砲を食らったみたいだと蓮子は思った。ん、さっきの自分はこんな顔をしていたのか。くっくっ、笑いが洩れる。
「な、何よぅ」
照れたように、そして少し怒ったようにメリーが顔を赤らめて睨む。
「物理の全てを以ってしても、あなたの見えている世界が解けるとは限らない。それが私を楽しませてくれる」
笑いながらそういうと、唐突のことだからだろうかあんまり理解できてないメリーがいた。
「つまりね、メリー」
あなたがいるから、世界が楽しく感じるのよ。
命 綱 。
「それはつまり私がいないと蓮子は生きていけないって事ね!」
「…そういうことになるの?」
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