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HN:
暮雨吉
自己紹介:
 東方(旧作)や音楽などで生きてます。
 ご用の方は以下からどうぞ。
 kuk-ku●chan.ne.jp(●→@)
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You are lover, so you lover !
Bad, you can not love me.
I have a pain in my chest, so it !
Bad, you can not love me.

Will you please delete my thought ?



           コーダを迎えるその時まで、




博麗神社にはよく顔を出す。あそこには沢山の妖怪が集まるから賑やかで良い。冥界は静か過ぎる。(だからと言って静かなのが嫌いかと問われれば首を横に振る。時と場合に依るのだ)ふよふよと持ち前のゆるさを飛翔に帯びさせて、私は其処へ出向く。
やはりと言えばやはりだが、妖怪など(一応人間もいる)が集まっていた。喧騒が鼓膜を貫く。控えていた妖夢が五月蝿そうに顔を顰めるのを視界の端で捉え る。しかしその喧騒の中に彼方(あなた)がいるのを聞いて思わず口許が弛み、半ば慌てる様に扇子を持った。少々顔に血が巡ってしまったように思う。悟られ なければいいけれど。
ふわり舞うように地へと降り立って声をひとつ掛けた。すれば5個の視線と10の眼球が途端に私と妖夢を射止める。何度も見ても面白い様だと何処か笑いな がら思い、そして5の視線の中に彼方がちゃんといるのを確認してから手近な所に座り込んだ。博麗の巫女は鬱陶しそうに表情をゆがめ、「今日は厭に来るの ね。鬱陶しいわ」と実際に鬱陶しく呟いた。


「賑やかなのは良いことよ。冥界を見なさいな、静まり返って気持ち悪いったらないわ」
「ゆっ、ゆゆこさまぁ!?」


妖夢の心外そうな悲痛な叫びが耳に届くけれどあえて無視する。


「あんな物騒な所と比べないで欲しいわ」
「物騒かしら。紅いお嬢さんのお屋敷の方が似合うと思うけれど」
「下手な事をしなければ冥界よりずっと安全よ」


何せあの世だし。指で上を指しながらそう付け加えて巫女は自身の湯呑みに手を伸ばす。その様を意味もなく見つめ、緑茶だと思っていた中身が紅茶だと言う ことに気付く。卓袱台に視線を滑らせればティーポッドが音もなく置いてあった。紅茶を飲むと言えば先の紅いお嬢さんぐらいしかいない。大方持参して気まぐ れで巫女に勧めてみたのだろう。私は内心紅茶を飲む巫女に驚きながら魔法使いと絡む吸血鬼を眺めた。


「いい加減パチェの所から盗んだ本を返しなさい。最近はホント機嫌悪くて話しかけるのも大変なんだから」
「盗んでない、借りてるだけだ、死ぬまでな。だから死んだら返すぜ」
「そう、なら良いわ。今この場で殺してあげる」


紅い双眸が禍々しく煌くのを魔法使いが流石に危険と判断し、慌てて前言を撤回しようとしている。控えていたメイドもそっと太腿のベルトからナイフを数本取り出そうと指を添えている様子も見え、非常に愉快だった。
―彼女と、吸血鬼と出逢ったのはいつの頃だったろうか。割かし最近でもないが遥か昔でもない。春雪異変辺りであるとほぼ適当に定めて、それから潜めた心を見つめる。
正直に言ってしまえば私のあの吸血鬼に堕ちてしまったのだ。この気持ちを悟ったとき、如何せん信じられなかったが。きっかけなど憶えてはいないしきっと そんなものは無かったと思う。気が付けば毎日あの幼い顔を思い出し、気が付けば会うたびあの青みを帯びた銀髪を目で追いかけていた。稀に目が合うときがあ るがその時はすぐに目を逸らし、それを怪訝に思った彼女に声を掛けられてもゆるく誤魔化して何とかこの付かず離れずの関係を保っている(と自分は思って る。元来仲は良くも悪くもないけれども)。
この想いを告げるつもりは無い。告げたとしても、それが叶うとは微塵も思ってなどいない。ならば潜めて其の儘殺してしまえば良い。一息に殺せなくても、少しずつ少しずつ、毒で殺すように、縄で首を絞めるように。


「―――――――――」


扇子を口許に持っていくのは昔からの癖である。主に表情を隠したい時に行う。
気付けば今も口許に扇子を持っていき、表情を出来うる限り隠していた。視線の先には幼い吸血鬼。彼女の紅く真っ直ぐな瞳は魔法使いに向けられている。魔 法使いは焦燥を隠さずに表情へと浮かべ、必死に弁解を試みている。されど吸血鬼は禍々しく瞳を煌かせ、残虐な笑みを顔に貼り付け。聴く耳は持たない。魔法 使いは慌てる。
目を細めた。視力は存外良い方であるが視界は多少鮮明に映る。吸血鬼は笑みを崩さない。紅い瞳は滾る様に、ただ紅く紅く紅色に。溶けてしまいそうだっ た。青みを帯びた銀髪は変わらず光を受け止め光沢を放つ。さらさら流れる髪に蕩けてしまいそう。衣服から覗く白い肌は病的なまでに、しかし怒りで興奮して いるせいか淡い桃色に染まっている。思わず口許が歪んだ。ちらりと度々垣間見えるほっそりとした首元に窪んだ鎖骨が見え隠れ、それが酷くまどろこしく感じ いっその事服を引き裂いてやろうかと思った。
幼い顔に手を添え、上目遣いのあの紅い瞳を網膜に焼き付ける。吸い寄せられるようにふっくらとした唇を自身のそれと重ね、驚愕に怯む隙に薄紅の衣服を引 き裂いて剥ぐ。すれば覗いた白い肌に、まず手を滑らせ感触を楽しむ。「――――」きっと声を上げるだろう。愛しい声。幼い声。まだ熱は帯びない。帯びるよ うに帯びるようにと何処か願うように首元に顔を埋め、ちゅ、と唇をつける。「―――っ」幼い肢体が小さく跳ね上がるのを口許を歪めながら眺めた。強く吸い 付き深く大きな痕を出来るだけ衣服で隠れない所に、たくさんたくさん残していく。「―っ―、――!」抵抗の言葉と徐々に熱を帯び始めた吐息を聴く。弱々し い少女のそれと何一つ相違ない腕の力を自身の絶対的な力で押さえ、次第に朱が差して行く肌を触れるか触れないかで指を這わせながらついに私は口を開く。 「ずっとこうしたかった。」自身でも少し驚くほどの低い声でそう言うと紅い双眸に微量の恐怖が混じる。しかしその恐怖を堪えこちらを睨み抵抗をする。ただ 余計に煽るだけだと言うのに。ぞくんと胸の奥深くに渦巻く得体の知れない何かが鼓動した。それを境にまるで突き動かされるように乱暴に手を這わし彼女の未 成熟な身体を汚し始める。「―、!―、―――ッ――っ」抵抗の声は消え代わりに悲鳴が鼓膜を貫く。それすらも私を壊していくひとつだった。涙を流せば流す ほど悲鳴を上げれば上げるほど喚けば喚くほど乱暴に乱雑に滅茶苦茶に蹂躙する。抑えるなんて理性なんて既に溶け切って壊れ切って跡形も無い。只管に彼女の 身体を求める。只管に彼女の身体を汚す。愛とか恋とかそんなきれいで澄んだものなど其処には在りはしない。欲だけが脳を支配する。彼女が欲しい、彼女だけ が欲しい。欲望は深く深くに渦巻き根付き、引き裂いても引き千切っても取れそうもない。ならばそれを受け入れる。私にはもう彼女しかいらない。彼女もそう であったらいいのに、否、そうあるようにするのだ。自身以外何もいらないように。


「――――――――――――――――――――――――――――――――幽々子様?」


熱が醒めていく。夢が醒めていく。脳が醒めていく。
妖夢の心配した顔が視界に現れ、描いていたもの全てが一瞬の内に消えた。


「ちょっと幽々子、どうかした?」


博麗の巫女の何処と無く焦った顔も捉えた。微睡みに浸していた体を起こし何事も無かったかのように返答をした。


「あら、二人ともどうしたの? そんな不安そうな顔しちゃって」


笑顔を浮かべるのは得意である。扇子を口許から下ろしにこりといつもの笑顔を浮かべる。見破れるのは大方紫ぐらいであろうか。もしかしたらいないかもしれない。誤魔化すことに対してはもう、嫌と言うほど慣れてしまったのだから。
巫女は一つため息を吐いて「惚けるのも程々にしなさいよ」と言って立ち上がり台所へと向かってしまった。紅茶はやはり口に合わず、緑茶が恋しくなったの だろう。後姿を気が済むまで見届け次いで妖夢に視線を移す。少々不安そうな表情を浮かべているもののもう一押しの笑顔を向けたら「帰りますか?」と問うて きた。その言葉に面食らったもののすぐに表情を整えて問いに首を縦に振る。そろそろ白玉楼にて茶菓子を食べたかった。


「あれ、帰るの?」


酔いどれ鬼の蕩けた声が鼓膜を叩いて振り返る。畳の上にごろりとうつ伏せに寝転がりながら純粋に不思議そうな顔と視線をこちらへと向けている。何処かの 誰かと同じくらいに幼い顔へいつも通りの微笑を送り当たり障りのない言葉で返答し其の儘ふわふわと飛翔した。その際にちらりと捉えた吸血鬼の姿を少しだけ 名残惜しく見つめて。
もう二度と会えないという訳ではない。彼女はこれから何十年何百年何千年とあの紅い館に住んでいるだろう。吸血鬼は長命である。下手なことが無い限り何度も会う機会はあるのだ。


「…………、」


あの微睡みの最中の白昼夢を思い出す。彼女を欲望の儘に犯す夢。あれが初めてではない。それ以前も見たことがある。何度、彼女を頭の中で犯して犯し尽く しただろう。定かではない記憶を掘り返しても答えは見えてこず仕方なしに埋め直した。すれば如何に自身が彼女に焦がれているかも判ってしまうから。
この想いは殺す。そう決めた筈であったのに気付けばやはり彼女を思い浮かべ、目で追い、果てにはこう言った夢を見る。忍べば忍ぶほどこの想いは募って いってしまう。殺さなくては、殺し切らねば。叶わぬ恋ならば持っていても仕方ない、桜のように散ってしまえば良いのだ。すればたといどんな悲惨な恋であろ うと美しく感じることが出来る。死んでしまえ、散ってしまえ。
した所でやはり募るばかりで、あの幼い顔を思い出すばかりで、あの愛しい声を思い出すばかりで、あの綺麗な瞳を思い出すばかりで。
―従者は主のためにたとい抗いがたい激しい感情もすべて抑え堪え、主に尽くすと聞く。


「妖夢は、すごいわね」


思わず悲鳴が口から出てしまった。声が震えている。情けない、こんな、こんなっ、


「幽々子様?」


「ちょ、あっ、幽々子様ぁっ!?」そんな声など知らない。半ば振り切るように速度を上げた。白玉楼へと誰よりも何よりも急ぐ。早く一人になりたかった。早く独りになりたかった。独りで堪えきれぬ想いにわんわんと泣き喚きたかった。
冥界へと続く門を軽く過ぎ、階段を颯爽と翔け、幾つもの桜の木を視界の端に捉えながら白玉楼へ向かった。乱暴に靴を脱ぎ捨て縁側から慌しく上がり、自室 へ飛び込む。暴力的に仕切りを閉めると、静寂が耳を鼓膜を体を包み込む。気配も何も無く、私の荒い息遣いのみが支配していた。


「―っ、ッ…――!!」


かくりと膝が崩れ、その場に倒れこむように座る。胸辺りの着物を、皺が寄るのも構わずに掴みただあの愛しい吸血鬼を思い出すばかりの自分に涙が出た。
どうせ叶わない。ならばいっそ散らしてしまったほうが良いのだ。そう決めたのは紛れも無く自分で、自分自身で、けれど胸が痛くて痛くて仕様が無い。心が空っぽで虚しくて悲しくて仕様が無い。あの幼い吸血鬼が恋しくて愛しくて、仕様が無い。
レミ、リア。レミリア=スカーレット。彼女の名前を縋るように呟く。この名前も、瞳も、声も、髪も、ぜんぶがぜんぶ愛しかった。高圧的で我が儘でプライドが高くて、されどそれも全部が愛しい。


「こんなのっ…、ッ、こんな気持ち……!!」


流れる涙を畳が吸い尽くし消していく。
この恋もそうやって消えてしまえばいいのに。









(エンディングは未だ見えない。)
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「おねーえちゃんっ」
ベッドへ横たわっているさとりに、遠慮なく覆い被さる。ぎしりと刹那にスプリングが軋み、しかしそれだけでベッドは二人分の体重を受け止めた。
「……安眠妨害です、こいし」
「無意識」
眠たそうに細められた瞳で少し睨むようにこいしを見つめる。言葉通りさとりは寝ていたのだ。
昼下がりはどうしても眠くなる。彼女はその睡魔に抗わずあっさりと受け入れ、こいしがこうして安眠を妨害するまで心地よく寝ていたのだった。
半ば怒られるようにさとりに言われ、しかしこいしは悪びれた様子も無く口癖と化した言葉を使う。
「…うそつき」
その言葉に少しむっとなったからさとりは、ぼそりと小さな声でこいしにそう呟く。
「嘘じゃないよ。お姉ちゃんなら判るでしょう?」
「判りませんよ。…あなたの思ってることは、特に」
それは嘘ではない。事実だ。閉ざしてしまったこいしの心は、さとりでも見ることは出来ない。その旨は大分前から彼女に伝えているはずだけれど、事ある毎にこいしはさとりに能力の使用を強いる。
その行動に果たしてどんな意図が組まれているのか、心が読めやしないからさとりは全く以って理解出来ない。たとえ心が読めていたとしてもこいしはよく解らない人物になっただろう。
不思議に思うのだ、どうしてそんなに心を読む読まないに執着するのか。
「………」
よく、解らない。


不安に思うのだ。だってただ一人だけ心が読めないだなんて、そんなの、
「…おねえちゃん」
「ん、なんですか…」
「わたしの、思ってること、…わかる?」
眠そうな声色で返事が返ってきてああ眠いんだと判ったけれども、構わずにこいしはさとりの睡眠を妨害した。
大分前から、否、こいしが“心を読む程度の能力”を閉ざしてから、さとりはこいしの心を見ることは出来なくなった。それをこいしは重々承知している。解っているけれども、それでも何度でも訊いてしまう。
唯一心が読めないだなんて、なんだか拒絶されているみたいで。
寂しくなんかならないけど、不安になる。
「……判り、ません。こいしの思ってることは、とくに」
抱きしめたさとりの、顔は見えない。ただ彼女のその細い身体から体温がぬるく伝わるだけ。酷く、気持ち悪かった。
「残念だなぁ…」
嘲笑うような、諦めるような、でも諦められないような、そんな渇いた笑いを浮かべる。
浮かんだ続きの言葉はそっと胸にしまっておいた。

こんなに大好きであいしてるのに。


「ホントに、くる?またくる?来てくれるの?」
「もう何回も言ったんだけどな…」
やれやれとため息をつく。心配性、とでも言えばいいのだろうか。何か違う気がする。
かれこれこの台詞を何度も聞いたし、かれこれこの台詞も何度も答えた。このしつこさは何なんだ。
「また来るってば、本当に。嘘じゃないぜ」
ぽんと頭に手をのせて優しく撫でる。こうすれば多少は信じてくれるだろうと思う。案の定パルスィは少し気持ちがよさそうに目を細めた。
「さっきから何度も言ってるだろう?それでもお前は心配、か?」
否きっと心配だからこうして何度も訊いているのだろうけど。言った直後に自分の言葉を心の中で否定する。なんだか矛盾してるな。
パルスィはじぃとこちらを見て、何か考え込むように、もしくは少し躊躇うように間をあけてこくりと控えめに頷いた。
口約束は簡単に出来る代わりに、脆く崩れやすい。そこをパルスィは執拗に心配し、何度も何度も訊いてくるんだろうなぁ。そしてさっきはそれだけじゃ駄目だと意思表示もした、訳だ。
そう、だな。そう私は零してから少し考え込む。彼女が満足しそうな約束の方法、とか、あっただろうか。第一約束の方法なんて限られてるし、そんなに知らないし、だからすぐに結論は出た。
「パルスィ、指、小指出して。こうやって」
「…こゆび?」
「そ、小指」
怖ず怖ず、とだけれど言われた通りに彼女は小指を出してきた。素直でいい子だと思いながら私はその指を自分の指と絡めた。パルスィは首を少し傾げて、何をするのと目で訊いてきた。くすり、薄く笑って私は口を開く。
「これはな、“指切りげんまん”っていう約束の方法なんだぜ」
「ゆびきりげんまん…?指を切っちゃうの?」
「違う違う、実際に切る訳じゃないぜ」
かわいらしい解釈だ。まるで幼い子供のよう。そして自分はそれを見守る母親、か。とかそんなくだらないことを思った。
「まぁ由来で“指きり”は遊女が客に不変の愛を誓う証として小指の先を切ったって言うけどな。今から私たちがやるのはそれとは違うものだ」
「何をやるの?」
「このまま小指を絡めたまま、“指きりげんまん、嘘ついたら針千本飲ます。指きった。”ってお互い言いながら“指きった。”で指を放すんだ。簡単だろ?」
そうやって顔を覗き込むとパルスィは頷いた。満足、してくれたみたいだ。よかった。
「じゃ、行くぜ?」
「うん」
何かを行う前って云うのは大抵わくわくしたりどきどきしたりする。今もそうだ。だから思わず顔が緩んだ。それはパルスィも同じだったみたいで、口許が嬉しそうだった。
さっき思ったことでパルスィは子供で、私はそれを見守る親と例えたけれど、今はお互い子供みたいだと、思った。それでも、いいと思う。

『指きりげんまん、嘘ついたら…』



小指に誓います。
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